モデリングのトポロジについてメモ

はじめに

モデリングについてチュートリアルなどを見ていると「トポロジをきれいに整える」とか 「きれいなトポロジ」といった表現に出くわすことがあります。 この「きれいなトポロジ」というのは、どうやら経験的に獲得される感覚のようです。 モデリングのチュートリアルでも、どうなったら「きれいなトポロジ」なのか ということをきちんと説明しているものは少ないです。

この「きれいなトポロジ」が一体どのようなものなのかについて調べてみましたが、 残念ながらはっきりとした答えは手に入れることができませんでした。 「きれいなトポロジ」が何者なのかについて明確な答えは手にはいりませんでしたが、 「きれいなトポロジ」について調べる過程で手に入った知識をとりあえずメモしておきます。

フェイスループ

モデリング用語としてのトポロジ

そもそもモデリング界隈で使われる「トポロジ」という用語が特殊です。 一般的な用語としての「トポロジ」とは少し異なった概念のようです。 人によって「トポロジ」が何を指しているのかも微妙に違うようですが、 概ね「ポリゴンの流れ」「ポリゴンの分割の仕方」を指しているようです。

きれいなトポロジについて

同じようなモデルでもポリゴンの分割が異なるものを作れます。

立方体

トポロジの違う立方体

これをトポロジの異なるモデルというようです。

同じような形状をさまざまなポリゴンの分割で作れますが、 その中にはより望ましいポリゴンの分割の仕方だったり、 あるいはあまり望ましくない分割の仕方があります。 それを「トポロジのきれいなモデル」「トポロジのきれいでないモデル」というようです。

ハイポリとローポリでは望ましいポリゴンの分割は違ってきます。 今回扱うのはハイポリのトポロジです。 ハイポリの定義はさまざまですが、ここではサブディビジョンサーフェスを前提とした モデリングのこととします。

モデリングの対象が有機物かハードサーフェスかによっても 望ましいポリゴンの分割は異なってくるようです。 今回は有機物のモデリングの方について扱います。

この記事では、「きれいなトポロジ」について調べる過程でわかった 「きれいなトポロジのための条件」を次の2つ紹介します。 1つ目は、シワになるPoleを避けること。 2つ目は、面の流れがきれいであることです。 それぞれ順番に説明します。


シワになるPoleをさける

「きれいなトポロジ」のための1つめの条件は「シワになるPoleを避けること」です。 最初にPoleについて説明をして、そのあとでPoleとシワについて見ていきます。

Poleとは

きれいなトポロジについて考える上で重要な概念としてPoleというものがあります。 まずはPoleという概念について説明します。

Poleとは頂点のうち、つながるエッジが4でないもののことです。 特に頂点につながるエッジが3本のものをN-Poleと呼び、 頂点につながるエッジが5本のものをE-Poleと呼びます。

N poleとE pole

Poleとサブディビジョンサーフェス

Poleは通常のエッジが4つの頂点と比べるとサブディビジョンサーフェスをかけたときに 大きく見た目が変わってきます。 サブディビジョンサーフェスをかけるとエッジが4の頂点はきれいに方眼状に分割されますが、 Poleは独特のポリゴン分割になります。

サブディビジョンサーフェスをかけたところ

Poleとシワ

Poleをサブディビジョンサーフェスにかけた 方眼状でない独特のポリゴンは意図しないシワなどの原因となります。 次のようなPoleをポリゴンを曲げた角に配置する例を見てみます。

曲げた場所にPoleを配置する

曲げた場所にPoleを配置する

よくみるとシワになっていることがわかります。

比較対象として方眼状の四角形面を曲げてみた場合は次のとおりです。

四角形面を曲げる

四角形面を曲げる

サブディビジョンサーフェスでシワができるトポロジは望ましいトポロジとはいえません。 望ましいトポロジを作るためにはこういった状況を避けるべきです。

Poleは常にしわになるのかというとそういうわけではありません。 カーブが緩やかな場所においたPoleを見てみます。

Poleを緩やかに曲げる

Poleを緩やかに曲げる

これだとシワはあまり目立ちません。

一方でカーブが急なところにPoleを配置するとシワが目立ちます。

Poleをカーブが急な部分に配置する

Poleをカーブが急な部分に配置する

Poleはカーブが緩やかな場所に配置するというのが1つのセオリーだそうです。 とは言っても曲率の低い部分に配置するというのは絶対のルールではなくて時と場合によるので、 曲率の大きい部分でもPoleを配置するほうが適切な場合もあるようです。

poleが角に配置されている

特にハードサーフェスでは状況が変わってきそうです。

三角形面や五角形面とPole

三角形面や五角形面をサブディビジョンサーフェスにかけるとPoleができてしまいます。

三角形面と五角形面のサブディビジョンサーフェス

三角形面と五角形面のサブディビジョンサーフェス

Poleはきちんと考えた上で配置するべきものです。 勝手に生成されるべきものではありません。 サブディビジョンサーフェスでPoleになってしまうというのが、 サブディビジョンサーフェス前提のモデリングで三角形面や五角形面が避けられる理由の1つです。

Poleの必要性

Poleはシワを生み出してしまうので Poleが無意味に大量に含まれているのはあまり望ましくありません。

しかしすべてのPoleを取り除けばよいのかというとそういうわけではないようです。 Poelには面のループの向きを変えるときにとても役に立ちます。 面のループの向きとその重要性については後で説明をします。 Poleを意識して適切に配置することがきれいなポリゴンを作る上で重要なことになります。


面の流れがきれいであること

「きれいなトポロジ」のための2つ目の条件は「面の流れがきれいであること」です。 「面の流れ」はループが作ります。 最初にループについて見ていきます。

2つのループ

モデリングをする上で2つのループが登場します。 1つ目がエッジループで2つ目がフェイスループです。 順に説明します。

エッジループ

エッジループはちょうど2本のエッジをまたぐようなエッジのつながりです。

エッジループ

次の画像はエッジループです。

エッジループ

エッジループ

一方で次の画像はエッジループではありません。 よく見ると2ほんのエッジをまたいでいない部分があります。

エッジループではない

エッジループではない

次の画像で選択されているエッジだけならばエッジループです。

エッジループ

エッジループ

エッジのループ選択は、このエッジループを基準に行われているようです。

フェイスループ

フェイスループは頂点がちょうど2つの面のみで共有される四角形面のつながったものです。

フェイスループ

次のように頂点が3つの面に共有されている場合はループではありません。

フェイスループではない

次の画像はフェイスループです。

フェイスループ

フェイスループ

一方で次の画像はフェイスループではありません。

フェイスループではない

フェイスループではない

ループカットなどのループ系の操作はこれらのループを基準に行われているようです。

複数のループ

複数のループは同居することが可能です。

複数ループの同居

図のように隣り合ったり重なり合ったりもできます。

ループの終端要素

ループは必ずしも一周するとは限りません。 ループがどこかで途切れることは多々あります。 ループが途切れる要素は四角形以外の面や穴などです。

ループの終端

ループの終端

ループとPole

Poleを配置することでループの向きを変えられます。

ループの向きを変える

ループの向きを変える

ループの向きを変える

Poleの移動

ループはPoleによってコントロールされることはわかりました。 Poleを適切に配置するにはPoleを移動する方法を知っておくと便利です。

まずはN Poleを移動する方法です。

N Poleを移動する


N Poleを移動する


N Poleを移動する


N Poleを移動する

次にE Poleを移動する方法です。

E Poleを移動する


E Poleを移動する


E Poleを移動する


E Poleを移動する

この他にもいろいろなPoleの移動方法があるようです。

きれいな面の流れ

ループの方向が「面の流れ」を作り出します。 Poleによってこの「面の流れ」をコントロールできるのも説明したとおりです。 Poleを適切に配置していくことでループをコントロールし、「きれいな面の流れ」を 作っていくことになります。

どのようなループが「きれいな面の流れ」なのかというと、 面の流れが筋肉や骨の流れに沿っているものだそうです。

筋肉や骨の流れに沿って面の流れを作ったほうがよい、ということですが、 なぜそうしたほうがよいのかについては残念ながら納得の行く 説明しているものを見つけられませんでした。 「少ないポリゴンで滑らかな形を作れる」「アニメーションさせても破綻が少ない」などが 理由としてあげられていましたが、具体例があげられておらず本当にそうなのか確証が持てていません。 「きれいな面の流れ」について理屈付きできちんと解説しているものがあればぜひ教えてほしいです。

「きれいな面の流れ」については経験を積んで獲得する感覚的な部分が大きいようです。 理屈について考えこむよりも、モデリングをたくさんこなして経験を積むのが 「きれいな面の流れ」を理解するための近道なのかもしれません。


トポロジについて参考になったサイト

トポロジについてわかりやすい説明がなされているサイトです。

有用そうなスレッドですが残念ながら画像が消えてしまっているようです。

Pinterestで「Topology」と検索すると有用な画像がいくつも出てきます。

Pinterest

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おわりに

モデリング用語としてのトポロジについてわかった範囲でまとめてみました。 どうにも感覚的なところが大きいようで、理屈による説明があまり見当たらなくて辛いです。 結局、トポロジについてはあれこれ悩むよりも経験を積んだほうがよいという結論に落ち着きました。 もしトポロジについてのよい解説をご存知の方がいたら私のTwitterへリプライなどで教えてもらえると嬉しいです。