エリクサー症候群に優しいリソース管理

以前の記事で、 ロードライト・フェイスはエリクサー症候群に優しいと書いた。 それについてもう少し考察を深めてみる。


この記事でいうエリクサー症候群は、一般にいわれるエリクサー症候群とはちょっと違うかもしれない。 この記事では貴重なアイテムだけが使えないのではなく、 リソース一般を温存しすぎてしまう人のことを指す。 リソース管理の下手な人という意味では同じようなものではあるが。


RPGの肝はリソース管理だといわれる。 リソースをどのような分配で使っていくかを決めるところに面白さがあるというのだ。

大量のモンスターを相手にする場合、個別に打撃で倒していては体力を消耗してしまう。 魔法を使って一気に敵を仕留めたほうが結果的に消耗を抑えることができる。 魔法を使った場合と使わなかった場合を天秤にかけてどちらが得かを考えるところに RPGのリソース管理の面白みがあるそうだ。

私のような重度エリクサー症候群の人間はリソースが減ることを極端に嫌う。 先の例ではレベルを上げてダメージを喰らわないようにするという手段を取りかねない。

なぜそこまでリソースを使うことを嫌うのか。

RPGでダンジョンを探索していると急にイベントが始まってボス戦に巻き込まれることがある。 適度に消耗しながら進み、あともう少し進んだら帰ろうと考えていたときに イベント戦が始まると最悪である。 これに備えるためには、最初の探索は全滅を覚悟するか 常に万全の状況で探索を進めるかのどちらかだ。

未来に何があるかわからないというのが、常に万全の状態でいようとさせてしまう。 そういう意味ではボス戦までの歩数がわかっているロードライト・フェイスはとても親切だった。

リソースの入手手段が限られているのも温存してしまう原因のひとつかもしれない。 宿屋で寝るしかMPを回復できないから温存するのである。

しかしリソースを使いたい放題にしてスキルをなんの制限もなく使えてしまうとゲーム性が薄くなる。 (このゲーム性という言葉が何を意味するかというのもいろいろと議論があるだろうが)

スキルを好き放題には打てなくして、スキルを打つ際に考える必要を持たせる必要がある。 このスキルを好き放題に打たせないための制限として、 リソース管理というのが用意されているのだろう。


ロードライト・フェイスは上のような重度エリクサー症候群患者にとって 遊びやすいRPGだった。

ロードライト・フェイスでは次々と武器が手に入る。 また、リソースを使わない通常攻撃というものは用意されていない。 リソースを使わないと進めない上にリソースの入手手段はダンジョン中にも存在する。 リソースを使うか使わないかの判断ではなく、リソースを使うこと前提で どのリソースから使うか、どれを手に残すかといったことが問われる。

減る一方でいつ補充できるかわからないリソースを管理するというのは 重度エリクサー症候群患者にとっては辛いものがある。 その点でロードライト・フェイスの次々と補充されるリソースを取捨選択するというのは エリクサー症候群に優しいRPGだった。

同じように次々と武器が手に入るという意味では ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドなどもそうだった。 武器に耐久値というのがあるが、次々と武器を冒険先で手に入れることで、 その耐久も気にすることなく使っていくことができた。


エリクサー症候群に対して優しいリソース管理として、 次々とリソースが手に入り、使うか使わないかの判断ではなく 使うこと前提でどれを使うかの判断をさせるというものをあげた。 他にもエリクサー症候群患者として嬉しいリソース管理について考えてみると、 クールタイム制のスキルというのが挙げられる。

一度使うと数ターン使えなくなるというような制限のあるスキルについて。 これは使わずに温存するよりもバンバン使って回転率を上げたほうが ダメージ効率がよいということになる。 クールタイムが極端に長くない限りは、エリクサー症候群の人間でも 楽しく遊べるタイプのリソースである。 このようなクールタイム制でも、敵が防御をといたタイミングに攻撃を合わせるとか、 バフデバフが整ったタイミングにクールタイムが回ってくるように調整するといったような形の リソースの管理でゲームを構成することが可能だ。

他にはアクションゲームに近くなるがスキルに間合いをもたせるなども考えられる。

RPGではないが、格闘ゲームの技で判定の強さやスキの大きさなどは スキルを好き放題打たせない制限になる。 相手が大きなスキを見せたときにしか叩き込めない技とか こちらの攻撃が連続ヒットしている最中にしかまともに当てられない技など さまざまなバリエーションが考えられるだろう。

なんだかだんだんリソース管理の意味が広がりすぎてきた気がする。 リソースと呼ぶよりもコストと呼ぶほうが適切な気がしてきた。 リソースもスキルの使用を制限するコストの一種であるといえるのか。 エリクサー症候群の人間には減る一方リソースという形のコストというのは辛いので、 もっと別の形のコストで考えるゲームだとうれしいということか。

まとまりが無くなって来たのでこの辺で記事を切り上げることにする。

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